「時間の進み方」と言うと、
「テンポ変化」のことを真っ先に思い浮かべると思います。
それも大切なのですが、
今回話題にしたいのは
「テンポの “感じ方” の変化」
について。
例えば、
「ずっと8分音符主体で進行してきたが、伴奏形が急に16分音符主体へ変わった」
などといった場合、
テンポ自体は変わっていなくても、
「テンポの感じ方」は変わります。
こういった「時間の進み方」の工夫は
作曲家があらゆるところに取り入れています。
「なんとなく16分音符を書いておこう」
などという作曲法は
少なくとも力のある作曲家はとりません。
ですから、
演奏家もなんとなく弾くのではなく、
「どこでどのように時間の進み方が変わったのか」
ということを読み取って演奏する必要があります。
実例を挙げます。
ショパン「ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58 第4楽章」
譜例(PD作品、Finaleで作成、3箇所抜粋)
楽曲が進むにつれて、
テンポは変わらずに
「左手の伴奏の音価」がどんどんと細かくなっていきます。
そこがこの楽曲の美しさ。
こういった構造的なことを理解していれば、
「左手の伴奏の音価が細かくなったからといってテンポが遅くなってしまうのは音楽的ではない」
と判断できます。
譜読みの際に、
「時間の進み方」まで注意深く読み取っておくことは
楽曲を理解する上で欠かせないということを
感じ取っていただけたらと思います。
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