【ピアノ】自分らしい演奏とは?:音楽で個性を育てるヒント
► はじめに
「自分らしい演奏」とは何でしょうか。多くの方が一度は考えたことのある問いではないでしょうか。
うまく弾けるようになっても、「自分の音楽」がなかなか見えてこない——そんな悩みを抱える方も少なくありません。本記事では、そのヒントになりそうな考え方を紹介します。
► 音楽で個性を育てる3つのヒント
‣「音の良し悪し」以外に何か一つ追求する
かつて指導者からこんな言葉をいただきました。
「音の良し悪し以外に何か一つ追求しなさい」
理由はシンプルで、その「何か一つ」がその人のキャラクターになるから、とのことでした。専門的に学んでいる方はもちろん、趣味として楽しんでいる方にとっても、何か一つ探求することの喜びや充実感は大きいものです。
優れた演奏家の演奏を聴いていると、音の質だけでなく、その人ならではの視点や姿勢が伝わってくることがあります。いわゆる「この人にしかない何か」です。
音楽に関連したテーマが取り組みやすいですが、必ずしも直接的でなくても構いません。例えば:
・あまり知られていない作曲家の作品を深く掘り下げている
・作曲家と同等の知識量を目指して音楽理論を学んでいる
・フットワーク軽く各地のストリートピアノを巡っている
・鉄道関係のピアノ作品をリスト化してまとめている
・海外の学習者へのオンラインレッスンを目指して語学に取り組んでいる
・歌曲の伴奏なら任せてほしいと言えるだけの経験を積んでいる
・未就学児への指導法を徹底的に学んでいる
大切なのは、目立とうとして意図的に「差別化ポイント」を作ることではありません。何かを深く探求していくうちに、それがキャラクターとして育っていく——その過程に本当の意味があります。
まずは自分が興味を持てることを一つ見つけて、少しずつ育てていきましょう。ちなみに筆者の場合、左手のみで演奏する作品と無調音楽が主な探求テーマです。
‣ 幅広い音楽に触れることの重要性
では、その「何か一つ」はどうやって見つければいいのでしょうか。
方法としておすすめなのは、学習の早い段階で絞りすぎないことです。
演奏や作曲というのは、「その人物の趣味や興味の表れ」と言っても過言ではありません。だからこそ、まだ学習が浅いうちは、できるだけ幅広い音楽に触れておくことをおすすめします。好きなジャンルに限らず、苦手な音楽や、これまであまり接してこなかった作曲家にも積極的に向き合ってみてください。その過程で、意外な方向に興味が広がることも少なくありません。
ある程度のレベルに達すると、やがて分野を絞る時期がやってきます。たとえば:
・モーツァルトをメインレパートリーにするピアニスト
・編曲も手がけながらピアソラの作品に集中するピアニスト
・戦後の現代音楽を専門的に取り上げるピアニスト
このような活動スタイルの背景には、単なる好みだけでなく、「自分は音楽を通じて何を発信できるか」という問いへの答えがあります。
プロを目指しているかどうかに関わらず、演奏が深まってくると、自然と掘り下げたいテーマが見えてきます。そのときに後悔のない選択ができるよう、今の段階では広く音楽に触れておくようにしましょう。
‣ 周囲から言われた「~節」をわざと意識してみる
同じ楽曲でも、演奏者が違えば全く別の音楽のように聴こえてきます。似た傾向の演奏はあっても、完全に同一の演奏は存在しません。「あの人の演奏を再現して」と言われても、それは実質的に不可能なのです——どれほど易しい曲であっても。
様々な演奏者の話を聞いてみると、意識的に「人と違う演奏をしよう」と考えている方は意外なほど少ないことが分かります。それでも演奏が個性的になるのは、演奏者それぞれの:
・性格
・趣味
・これまでに吸収してきた音楽体験
が、すべて違うからです。自分のやり方で誠実に取り組むだけで、演奏は自然と個性的なものになっていきます。そのうえで、「ここは改善したほうがいい」と言われた点については、素直に見直していけばいいでしょう。
ここで一つ、音楽に自分らしさを出すための小さなコツを紹介します。
人から「○○なところが○○さんっぽいよね」と繰り返し言われることがあれば、それは大きなヒントです。その部分をあえて意識して前面に出してみましょう。放っておくよりも、意識することでその個性はより際立ってきます。演奏でも作曲でも、同様のことが言えます。
► 終わりに
「自分の音楽」は、意識的に作り上げるものというより、日々の探求や経験の積み重ねの中から自然と生まれてくるものです。
本記事で紹介したヒントが、読者さんの音楽をより豊かにするきっかけとなれば幸いです。
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