具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
シューマン「謝肉祭 16. ワルツ・アルマンド(ドイツ風ワルツ)」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
まず、譜例①の2つを見てください。
①の左側が原曲で、
①の右側が「1拍目」からダンパーペダルを踏むと
どのような音響になるのかを声部分けした例です。
16分音符によるメロディAs音の響きがペダルで残される様子を
付点2分音符で補足しました。
(再掲)
次に、譜例②の2つを見てください。
②の左側が原曲で、
②の右側が「2拍目」からダンパーペダルを踏むと
どのような音響になるのかを声部分けした例です。
16分音符によるメロディAs音の響きはペダルで残されないので、
メロディラインに関しては
①のような音響変化が起きません。
(再掲)
①と②の違いを聴き比べてみると、
②では、よりメロディラインが聴き取りやすいことが分かります。
①ではメロディラインが「和音化」されてしまうので
メロディラインがやや聴き取りづらくなります。
この楽曲を知らない聴衆には
「As音だけがメロディで、C音は伴奏」
このように思われてしまうかもしれませんね。
どちらのペダリングでも間違いではないのですが、
「この楽曲を初めて聴いた聴衆にも正しいメロディラインを伝えること」
などを重視するのであれば
②のほうがベターだと考えます。
それにここでは、
「semplice(単純に)」と書かれていますので
そういった意味でも
表現的に②のほうがベターでしょう。
これらの比較から分かることがあります。
「ペダルを踏み始める位置の工夫次第で、メロディを明確に聴かせられる可能性がある」
ということです。
もちろん、
「すべての楽曲のすべての箇所で」
というわけではありません。
しかし、
今回挙げた譜例のように
ダンパーペダルを使っても使わなくても成立するところでは
「それらの違いがメロディラインにどう影響を与えるのか」
といったことを調べてみる。
この観点を持っているだけで、
ペダリングに対しての感覚が鋭くなります。
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