【ピアノ】「三枝成彰ピアノ曲集〜レパートリー編」レビュー:難易度・収録曲・おすすめ曲を解説

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【ピアノ】「三枝成彰ピアノ曲集〜レパートリー編」レビュー:難易度・収録曲・おすすめ曲を解説

► はじめに

 

本記事で分かること:

・「三枝成彰ピアノ曲集〜レパートリー編」がどんな曲集か
・難易度の目安と、どんなレベルの学習者に向いているか
・全16曲の収録曲一覧とジャンル
・特におすすめの2曲の演奏ポイント
・この曲集が役立つ具体的な場面

 

基本情報

項目 内容
出版社 カワイ出版
発売 1998年 / 2004年
ページ数 47ページ
対象レベル 初級〜中級
運指監修 横山幸雄氏(ピアニスト)
構成 ピアノソロ9曲 + 4手連弾7曲、全16曲 16ジャンル

 

► この曲集の特徴と魅力

‣「1ジャンルに縛られない」という発想

 

作曲者・三枝成彰氏は、楽譜の前書きでこう述べています。

「ピアノの練習が特定のジャンルに限定されることなく、幅広い音楽に接しながら上達していってほしい」

ラグタイム、サンバ、ボサノヴァ、ブルース、演歌、レゲエ、タンゴ……と、普通のクラシックピアノ曲集ではあまり出会えない多彩なジャンルが、1冊にまとまっています。各曲にはそのジャンルの簡潔な解説も付いており、音楽の幅を広げる入門書としても役立つことでしょう。

 

‣「弾ける楽譜」である安心感

 

ノンクラシック系のピアノ譜には、原曲のグルーヴ感を再現しようとするあまり、譜面が複雑になりすぎて実際には弾きこなせないものも少なくありません。

この曲集が信頼できる理由は、作曲者の三枝氏が以下の2点を兼ね備えているからです:

・幅広いジャンルの作編曲経験:映画・テレビ等のサウンドトラックでも知られ、多ジャンルへの対応力が高い
・プロの楽譜制作力:ピアノを弾く手の動きに合った音遣いで、音楽的に成立するように書かれている

さらに運指は、ピアニスト・横山幸雄氏が監修。練習の手引きとしても充実しています。

 

► 難易度について

 

目安:ブルグミュラー25の練習曲修了程度〜

収録曲はほぼ一定した難易度帯にまとまっており、飛び抜けて難しい曲や極端に易しい曲はありません。

ソロ曲はすべて見開き2ページ構成のため、ページめくりが不要でとても弾きやすいレイアウトです。6度音程に音省略の括弧が付いている箇所など、子供の学習にも配慮した工夫が見られます。

一方、大人の学習者が「おしゃれ」「かっこいい」と感じられる作品も多く、発表会や演奏の仕事にも十分使えるクオリティがあります。筆者自身、レストランのBGMピアノ演奏の仕事で「サルバドール・ボサ」をレパートリーとして実際に使用していました。

 

► 収録曲一覧

 

ピアノソロ(9曲)

曲名 ジャンル
1 アップ・ダウン・ラグ ラグタイム
2 サバンナ・サンバ サンバ
3 おしゃれなチャールストン チャールストン
4 憧れのハバナ ★ カリビアン
5 雨の日のブルース ブルース
6 サルバドール・ボサ ★ ボサノヴァ
7 ウェスト・コーストの空 ウェスト・コースト
8 ジャズの感じで ジャズ
9 日本の哀歌 演歌

 

4手連弾(7曲)

曲名 ジャンル
10 ドレッド・ガイ レゲエ
11 ロックン・エクスプレス ロックン・ロール
12 ユーロビート・ダンス ユーロビート
13 スパニッシュな午後 スパニッシュ
14 ラテン・ダンス ラテン
15 タンゴ・レッド タンゴ
16 トワイライト・フュージョン フュージョン

★ は特におすすめの曲(詳しくは後述します)

 

► おすすめ曲ピックアップ(ピアノソロ)

‣ 憧れのハバナ(カリビアン / ピアノソロ)

 

難易度:ブルグミュラー25の練習曲 修了程度

格好よさと切なさを兼ね備えた、この曲集のなかで筆者が最も好きな一曲です。

 

曲の魅力:

・リズムを効かせる部分とメロディを歌わせる部分の対比が鮮やか
・最後の和音がⅥの第1転回形で終わる、余韻の残るおしゃれなエンディング
・カリビアンならではの躍動感と哀愁が同居したサウンド

 

演奏のポイント

キビキビとしたリズム感が命の曲です。特に注意したいのが、両手ともに打鍵がない拍。例えば「3小節目の2拍目頭」「11小節目の4拍目頭」などのような箇所では、身体の中でビートを刻み続けることを意識しないと、リズムが崩れる原因になります。「音を弾かない瞬間こそ、拍を意識する」——これがこの曲を音楽的に演奏するための最大のコツと言っていいでしょう。

 

‣ サルバドール・ボサ(ボサノヴァ / ピアノソロ)

 

難易度:ブルグミュラー25の練習曲 修了程度

落ち着いた雰囲気の美しいメロディが印象的な、ボサノヴァスタイルの一曲。2ページ目から現れる、どこか懐かしさを感じるメロディは、大人の学習者に特に響くはずです。テンションコードも随所に使われており、色気と洗練が感じられる作品です。

 

演奏のポイント

左手はボサノヴァ特有のリズムパターンが続くので、ベースとパーカッションを担う小さなバンドを頭の中でイメージしながら演奏すると、自然にグルーヴが生まれてきます。

メロディの表現では、スラーが書かれている箇所とそうでない箇所を意識しましょう。スラーのない部分はノンレガートで弾くことで、ニュアンスの変化が生まれ、演奏に陰影が出ます。この「つなぐ・少し切る」のコントラストが、この曲をより魅力的に聴かせるポイントになります。

 

► 楽譜情報

 

・「三枝成彰ピアノ曲集〜レパートリー編」 カワイ出版

Amazonリンク:https://amzn.to/3OFD2jO

 

► こんな方におすすめ

 

・クラシック学習者で、レパートリーのジャンルを広げたい方
・レストランBGM演奏・発表会の講師演奏などで、クラシック以外の軽めの作品を探している方
・ピアノ曲の作編曲に取り組みたい方の分析・参考教材として(各ジャンルの典型的なリズムの使い方が学べる)
・連弾が好きな方(ソロ曲集としてだけでなく、レゲエ・タンゴ・フュージョンなど多彩な連弾作品も充実)

 

► 終わりに

 

「三枝成彰ピアノ曲集〜レパートリー編」は、ブルグミュラー修了前後の学習者が、クラシック以外の音楽世界に踏み出すための理想的な1冊と言えるでしょう。コンパクトな構成ながら16ジャンルを網羅しており、大人の趣味ピアノにも実用的な演奏の場でも活躍できる曲が揃っています。

クラシックだけにとどまらず、「音楽そのものを楽しみたい」というすべてのピアノ学習者に、自信を持っておすすめできる曲集です。

 


 

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