- 【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.22
- ► はじめに
- ► 質問集
- ‣ Q1. レッスン開始直後に手が冷た過ぎる場合、先生に少し待ってもらってもいい?
- ‣ Q2. レッスン途中で急に体調が悪くなったとき、中断をお願いしてもいい?
- ‣ Q3.「今日は調子が悪い日」をどう扱えば成長につながる?
- ‣ Q4. レッスンの服装がラフ過ぎると先生は気にする?
- ‣ Q5. レッスンで間違えたとき、「もう一回いいですか?」と言っても失礼じゃない?
- ‣ Q6. 先生に失礼な質問をしてしまったと後で気づいたとき、謝るべき?
- ‣ Q7. 調号が多い曲が苦手…どうすればいい?
- ‣ Q8. 短い曲と長い曲、どちらを優先すべき?
- ‣ Q9. ピアノ編曲してみたけど、あまり響きが綺麗に聴こえない…
- ‣ Q10. 将来、アンサンブルに挑戦したい場合、今から何をすべき?
- ► 終わりに
【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.22
► はじめに
・「こんなこと、先生に聞いていいのかな…」
・「ググっても明確な答えが出てこない…」
こういった、聞きにくいけど実は気になるピアノ関連の疑問に、真面目に答えます。レッスンに通っている方はもちろん、スポット(単発)レッスンを受ける独学の方にも参考になる内容です。
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► 質問集
‣ Q1. レッスン開始直後に手が冷た過ぎる場合、先生に少し待ってもらってもいい?
結論:構わない
ただし、「待つ」というより「事情を説明して、音楽談義などを通した準備の時間をもらう」という姿勢が大切です。普通の先生であれば理解してくれます。とはいえ、本番では誰も待ってくれません。また、毎回同じことを繰り返すと、準備不足と受け取られる可能性もあります。
実践的な対策:
・使い捨てカイロ、電熱ベストなどを活用する
・タイツを着用するなど、下半身の防寒も考える
・本番を想定した防寒対策を習慣化する
本番での注意点
会場のお手洗いは冷水しか出ないことがあります。ヘアメイクで整髪剤を使った手を冷水で洗うと、手が冷え切ってしまいます。本番前のヘアメイクは自宅で済ませ、会場では「直し」程度に留めましょう。
‣ Q2. レッスン途中で急に体調が悪くなったとき、中断をお願いしてもいい?
結論:遠慮なく伝える
体調不良は誰にでも起こりうることです。無理をして続けるより、正直に伝えるほうが誠実です。
ただし、体調管理も自己責任の範囲です。レッスン料の返金や振替を前提とするのは避けましょう。明らかに体調が悪いときは、事前に連絡を入れて休むのが大人の対応です。風邪の症状があるのに黙ってレッスンを受け、先生に感染させるのは避けたいものです。
‣ Q3.「今日は調子が悪い日」をどう扱えば成長につながる?
結論:やれば確実に進む作業にシフトする
調子が悪い日は無理に「弾き込み」をしようとせず、譜読みに時間を割くのが効果的です。
理由:
・譜読みは「読んだ分だけ確実に前進する」作業
・すでに弾ける曲を磨く作業より、精神的負担が少ない
・調子が良い日のための準備になる
弾き込みには高い集中力とコンディションが必要ですが、譜読みは比較的リラックスして取り組めます。調子の波を味方につける練習計画を心がけましょう。
‣ Q4. レッスンの服装がラフ過ぎると先生は気にする?
結論:極端でなければ問題ないが、配慮は必要
レッスンの前後にカジュアルな予定があれば、ラフな服装になることもあるでしょう。多くの先生は気にしませんが、最低限のマナーは守りましょう。
避けたい服装:
・過度に肌が露出している服装
・清潔感に欠ける服装
・演奏の妨げになるアクセサリー類の着用
自宅レッスンの場合は特に、「人の家に上がる」という意識を持つことが大切です。スタジオレッスンでも、先生と同じ空間で学ぶという敬意を服装に表しましょう。
‣ Q5. レッスンで間違えたとき、「もう一回いいですか?」と言っても失礼じゃない?
結論:失礼ではないが、弾き直しは癖になる
一度通して弾くと決めたら、どんなミスがあっても弾き通す習慣をつけることをおすすめします。
弾き直しをおすすめしない理由:
・本番では弾き直しができない
・失敗への対処力が育たない
・先生は全体を評価しているため、弾き直しても評価は変わらない
特に避けたいのは、「先生の評価を気にして」弾き直すことです。納得できない箇所があれば演奏後に相談し、次回に活かす姿勢のほうが建設的です。
‣ Q6. 先生に失礼な質問をしてしまったと後で気づいたとき、謝るべき?
結論:明らかに失礼だったなら、次回のレッスンで直接謝る
メールやメッセージではなく、対面で誠実に謝ることが大切です。
謝罪のポイント:
・条件をつけない(「不快に思われたなら」などの表現は避ける)
・シンプルに「申し訳ございませんでした」と伝える
・同じ過ちを繰り返さないよう心に留める
先生も人間です。誠実な対応をすれば、お互いにスッキリした関係を続けられます。
‣ Q7. 調号が多い曲が苦手…どうすればいい?
結論:触れる回数を増やすしかない
通常の学習では、どうしても調号の少ない曲に偏ります。
理由:
・教則本が調号の少ない曲から始まる構成になっているから
・楽曲そのものが、調号の少ない曲のほうが多いから
ハノンの全調スケールで基礎的な慣れは作れますが、実際の楽曲で数をこなすことが最も効果的です。
調号が多いが比較的取り組みやすいレパートリーの例:
・ドヴォルザーク「8つのユーモレスク 第7番 Op.101-7 変ト長調」(変ト長調・♭6つ)
・グリーグ「抒情小品集 第3集 春に寄す op.43-6」(嬰ヘ長調・♯6つ)
・ショパン「24のプレリュード 第14番 Op.28-14」(変ホ短調・♭6つ)
これらの曲は調号が多いながらも、音楽的に魅力があり、技術レベルも初中級〜中級程度で取り組みやすい作品です。
‣ Q8. 短い曲と長い曲、どちらを優先すべき?
結論:両方取り入れるべきだが、長い曲に偏りすぎていないか注意
どちらか一方に絞る必要はありません。学習段階に応じて、バランスよく取り入れましょう。
初級〜初中級の方
本に出てくる曲を着実にこなしていけば、自然と短めの曲中心の学習になります。この段階では基礎固めが優先なので、それで問題ありません。
中級以降の方
憧れの大曲ばかりに手を伸ばしてしまう傾向があります。ここに落とし穴があります。
おすすめの選曲方法:
・一枚のCDを作るつもりで選曲する
・リサイタルを開くつもりで選曲する
この方法なら、大曲だけでなく、それと相性の良い小品も自然とレパートリーに加わります。「短くシンプルな作品を音楽的に仕上げる」という、見落とされがちな学習を補いながら、バランスの良いレパートリーを育てましょう。
推奨記事:【ピアノ】選曲・レパートリー形成・プログラム作成 大全
‣ Q9. ピアノ編曲してみたけど、あまり響きが綺麗に聴こえない…
結論:最もテコ入れすべきは「ロー・インターヴァル・リミット」
響きが美しくない主な理由は、主に以下の3つに集約されます:
・理論上、同時に鳴らすべきでない音を同時に出している
・ハーモニーの付け方に問題がある
・ロー・インターヴァル・リミットを超えた音遣いをしている
この中で最も頻繁に起こり、かつ改善しやすいのが、ロー・インターヴァル・リミットの問題です。
ロー・インターヴァル・リミットとは
各音程には「これより低い音域でその音程を使うと濁る」という限界値があります。例えば、長3度や短3度で以下の譜例の音域を下方向へ超えて使うと、非常に濁った響きになります。

詳しくは、【ピアノ】ロー・インターヴァル・リミットとは?:作曲と演奏に役立つ音楽理論 という記事をご覧ください。
‣ Q10. 将来、アンサンブルに挑戦したい場合、今から何をすべき?
結論:レパートリー作り・仲間作り・提案する習慣づくりの3つが鍵
アンサンブルの機会を得る最も手軽な方法は、ピアノ教室の演奏発表会でソロに加えてアンサンブルでも参加させてもらうことです。
ここでは、もう少し本格的にアンサンブルに取り組みたい方向けのアドバイスをします。
必要な3つの視点:
レパートリーを増やす
ソロと同じように、アンサンブル曲のレパートリーを開発しましょう。曲がなければ提案もできません。「いつもソロばかり練習していて、いざやるときになったらそのアンサンブル曲を練習する」という姿勢では、機会はまず訪れないでしょう。
音楽仲間を作る
様々なイベントで出会った音楽仲間との交流を大切にするなど、日頃から良い人脈を広げる努力が必要です。
怖がらずに提案する
「この曲を一緒にやりませんか?」と声をかける勇気を持ちましょう。タイミングや相性が合えば、そこから素晴らしいアンサンブル機会が生まれます。
アンサンブルは一人では完結しません。だからこそ、自分から動く姿勢が何より大切です。この流れは、音楽に限らず、仕事や人間関係の構築にも共通します。
► 終わりに
先生に聞けないこと、ググってもあまり出てこないこと、たくさんあります。そんな小さな疑問を一つずつ解決していくことでピアノ学習を楽しくしていきましょう。
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