【ピアノ】楽曲中の数箇所にしか現れない特徴に着目した分析方法
► はじめに
楽曲分析において、「数箇所しか出てこない特徴」に着目することは、作曲者の意図を読み解く重要な手がかりとなります。このような特徴は、以下のような観点から分析の価値があります:
・楽曲構造の変化点や区切りを示すマーカーとしての機能
・特定の箇所を強調するための手法としての使用
・楽曲全体の統一性に対する「変化要素」としての役割
► 実例による分析
‣ J.S.バッハ「ポロネーズ BWV Anh.119」の場合
J.S.バッハ「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 ポロネーズ BWV Anh.119」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、楽曲全体)
本楽曲における特徴的な要素として、両手のパートがリズミックユニゾンで動く箇所(5,11,13小節目)が挙げられ、これらの箇所は以下の点で重要な分析価値を持ちます:
構造上の配置:
・Bセクション開始部(5小節目)
・Cセクション開始部(11小節目)
・Cセクション中盤(13小節目)
機能分析:
・セクション間の境界を明確化
・テクスチャーの変化による聴覚的なメリハリの創出
・楽曲の形式構造を強調
‣ J.S.バッハ「メヌエット BWV Anh.114」の場合
J.S.バッハ「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 メヌエット BWV Anh.114」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、楽曲全体)
本楽曲では、冒頭小節と最終小節にのみ和音が出現します。この特徴は以下の観点から分析することができます:
構造的意義:
・楽曲の開始と終結を明確に示すフレーム構造の形成
・単声の部分との対比による形式の強調
和声的特徴:
・調性確立と、開始・終止の明確化
・テクスチャーの変化による構造的なアクセント付け
► 分析の深化に向けて
これらの分析から、以下のような普遍的な観点を導き出すことができます:
1. 構造的機能
・セクション間の境界マーカーとしての役割
・形式構造の明確化手法としての使用
2. 対比的効果
・主要な素材との関係性
・テクスチャーの変化による強調
3. 分析への応用
・他の楽曲分析への展開可能性
・より複雑な作品における類似手法の発見
► 終わりに
楽曲中数箇所しか出てこない特徴は、作曲者の意図的な選択として捉えることができます。これらの要素を見出し、その機能を分析することは、楽曲の構造理解を深める重要な手がかりとなります。
【おすすめ参考文献】
本記事で扱った、J.S.バッハ「ポロネーズ BWV Anh.119」について学びを深めたい方へ
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【J.S.バッハ ポロネーズ BWV Anh.119】徹底分析
【おすすめ参考文献】
本記事で扱った、J.S.バッハ「メヌエット BWV Anh.114」について学びを深めたい方へ
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【J.S.バッハ メヌエット BWV Anh.114・115】徹底分析
【関連記事】
▶︎ 楽曲分析を体系的に学びたい方はこちら
楽曲分析学習パス
► 関連コンテンツ
著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら
・SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら
コメント