具体例をひとつ挙げます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、104-111小節)
104小節目から新たなセクションになり、
111小節目の f へ向かっていきます。
ただし、ダイナミクスのもっていき方には
いくつかの注意が必要。
104-106小節は pp 、107-108小節目は p 、
109-110小節は mf 、111小節目で f 。
ただし、104-106小節目には
クレッシェンドが書かれていないので
107小節目の p は
原則、subitoで到達することになります。
107小節目以降にはクレッシェンドが出てくることを考えると
ラヴェルは書き分けているということなので
105-106小節に勝手にクレッシェンドを補うべきではありません。
(再掲)
subitoでダイナミクスを上げるのは意外と難しいものですが
ここでの解決策は簡単です。
101小節目からソフトペダルを使うように指示があり、
107小節目に
「3 Cordes(3本の弦で=ソフトペダルを使わないで演奏する)」
と書かれています。
したがって、
ソフトペダルと指先のコントロールをあわせて pp をつくっていた状態から
弾く強さは変えずにソフトペダルのみを上げれば
pp が p へ変わってくれます。
(再掲)
107小節目に書かれているのは
一応「poco cresc.」ではありますが、
p から mf までは結構ダイナミクスの開きがあることを
意識しましょう。
109-110小節は「縮節」になっています。
縮節とは、
「提示された素材が、音価や拍の長さを縮めながら連結されていくこと」
このような意味であり、
譜例のカギマークを見比べると理解できるでしょう。
縮節の表現のひとつとして
「せきこみ効果」があるために
クレッシェンドとの相性も良く、
譜例のところでは
f へ向かっていく音楽の方向性が示されています。
したがって、
ここのクレッシェンドの松葉は
充実した f へ到着できるように
しっかりと表現してください。
(再掲)
クレッシェンドを活かす表現のコツは
111小節目の f へ入る直前に
鳴らしたいからといって
テンポをゆるめたり変な間(ま)をとったりしないこと。
クレッシェンドに加えて
縮節でのせきこみもあり
明らかに音楽エネルギーが前へ向かっているので、
音楽の流れにブレーキをかけるようなやり方は
避けるべきだからです。
もし時間をとりたいのであれば、
111小節目へ入るときではなく
入ってしまってから
左手の8分休符をやや長めにとるほうが
音楽の方向性がずっと明確になります。
そうすると
クレッシェンドの効果も活かせるでしょう。
【ピアノ】「縮節」について理解しよう
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