「出し終わった音も責任を持って聴き続ける」
これを徹底しましょう。
特に長く伸びる音価のときには ”意思と意識” が必要です。
■出し終わった音にも責任を持とう
♬ 鍵盤を指でおろしたままの場合
このケースでは
ペダルに頼りきっているわけではありません。
しかし、
鍵盤を指でおろしたままであっても
その音を聴き続けていないと演奏にあらわれてしまいます。
◉ 音を聴き続けないと、次に出てくる音との音量バランスもとれない
これらが理由です。
メロディラインを例にしましょう。
ラヴェル「ハイドンの名によるメヌエット」
譜例(PD作品、Finaleで作成、5-8小節)
※(米印)の箇所を見てください。
7小節目のメロディは
「4分音符 + 8分音符 4つ」
となっていますが、
こういったリズムでは、
4分音符の直後(米印の部分)で音楽が切れてしまうことが多くあります。
ペダルで音がつながっているかどうかは関係ありません。
ペダルを使っていても頼りすぎずに
できる限りギリギリまで指でもつなげて
メロディFis音からE音へのつながりをよく意識する。
そうすることでようやく
つながったフレーズが生まれます。
別の言い方をしましょう。
注意すべきなのは「音色」。
仮に音自体はつながっていても
直後の音との音色があまりにも異なると
別々に聴こえてしまうのです。
だからこそ、
音を聴き続けることで
音色に関連性を持たせないといけません。
また、
筆者は「レガートの法則」と呼んでいるのですが、
「隣の音と音色が近ければ、音量に差があってもレガートに聴こえる」
というものがあります。
つまり、
音色を揃えることでフレーズの細切れを防げるのです。
鍵盤をおろしたまま、音を保持していることを意識する。
「音を持ち続ける」
という言い方をすることもあります。
♬ 指は離してしまい、ペダルで残す場合
以下の譜例のような
跳躍するメロディなどで
「指ではレガートにできず、ペダルでつなげざる得ない場合」では
前項と同様の注意が必要。
音を聴き続けることで音色に関連性を持たせる必要があります。
ショパン「ノクターン第2番 op.9-2」
譜例(PD作品、Finaleで作成、4小節目のメロディ)
さらに、
「音を聴き続けて、次に出てくる音との音響バランスをとる」
というケースについて解説します。
ショパン「舟歌 op.60」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
曲頭に深いバスの音が出てきます。
こういったバスの響きは
音を聴き続けるべきところの代表格。
つまり、
「指は離しているけれども、ペダルで音響を残して長く伸び続けているバス音」
のことです。
伸びている音を耳で聴き続ける必要アリ。
そうすることで、
直後に出てくる音のバランスを決定することができます。
もし、バス音を耳で聴き続けていなければ
直後に出てくる音の「ダイナミクス」も「音色」も
「全く無関係なもの」となってしまいます。
音楽は全て前後関係で関連しあっているのです。
譜例の場合は、
「バスの深い響きのお皿に、その後の音をどのような音響バランスで乗せるか」
ということを決定したいですよね。
その際に、
「バスを出しっぱなしで、それ以降は聴いていなければどうしようもない」
ということを言いたいのです。
今回は頻出の例を挙げましたが、
出し終わった音を聴き続けることは
他にもあらゆる場合で必須となります。
鍵盤はONとOFFのスイッチではありません。
自分の出した音に責任を持ちましょう。
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