【ピアノ】上達における「踊り場」を潔くスルーする方法

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【ピアノ】上達における「踊り場」を潔くスルーする方法

► はじめに

 

ピアノを練習していると、ある時期から急に「伸びている実感」が消えると感じたことがあるのではないでしょうか。先週まで確実に上達していたはずなのに、今週は何をやっても変わらない。そんな停滞の時期を「踊り場」と呼びます。

本記事では、踊り場がなぜ発生するのか、そしてどう対処すれば焦らず乗り越えられるのかを解説します。

 

►「踊り場」は裏切りではなく、構造

 

階段を登るとき、次のフロアへ向かう前に必ず踊り場があります。ピアノの上達や分析学習も、驚くほどこれと同じ構造をしています。

つい先日まで確実に伸びていたはずなのに、ここ数日は何をやっても変わらない。先週より上手くなった実感がない。こういった「停滞期」は、多くの学習者が「自分だけがうまくいっていないのではないか」と感じる瞬間です。しかし実際には、踊り場の発生はほぼすべての学習者に、ほぼ必ず訪れます。

問題は「踊り場が来るかどうか」ではなく、「踊り場に来たときにどう対処するか」です。

 

► なぜ、踊り場は発生するのか

 

上達が直線的に進まない理由は、ピアノ演奏が複数の要素(指の運動、聴覚、身体の使い方、記憶力、音楽的解釈、音楽的知識、あらゆるコツをつかむきっかけの手に入れ方、など)を同時に統合していく複雑なスキルだからです。

ある要素が先に成長し、他の要素がそれに追いつくまでの時間、表面的な「伸び」は止まって見えます。実際には地下で根が張っているのに、地上から見ると何も起きていないように見える状態と言っていいでしょう。

踊り場の期間こそ「次の成長の下準備」が静かに進んでいる時間と考えてみてください。

 

► 踊り場をうまくスルーするための考え方と方法

‣ 1.「今の自分」を「過去の自分」と比較する

 

停滞を感じたとき、人は現在と理想を比べがちです。しかしそれだけではなく、「半年前・1年前の自分と比べる」ことを意識してみましょう。

好きなYouTuberの記念すべき第1本目の動画を見てみてください。今では洗練されたスタイルで発信している方が、第1本目では遠慮がちで恥ずかしそうにしていることに驚くことでしょう。好きなピアニストの若い頃の演奏を探して聴いてみるのも同様です。誰もが試行錯誤の中でスタイルと実力を積み上げていったことが分かります。

成長は「理想との差」だけではなく「過去の自分との差」でも測りましょう

 

‣ 2. 試行錯誤を面倒臭がらない

 

「現代ピアノ演奏テクニック」(著:エフゲーニ・ヤコブレヴィッチ・リーベルマン / 音楽之友社)には、以下のような練習姿勢の重要性が記されています。

(以下、抜粋 番号のみ補足)
① 練習では常に根気強さをもつこと
② 現在できないことに妥協しない
③ いろいろな困難の克服を容易にする方法を探求すること
④ 自己に音楽的、テクニック的な課題を課し、それが解決されるまでは安心しないこと
(抜粋終わり)

 

いずれも、試行錯誤の重要性が説かれています。踊り場の時期に停滞する最大の原因のひとつは、試行錯誤の回数が足りていないこと。「まだ準備ができていないから」「上手くできなかったら時間がムダになる」などと考えて真面目なフリしたナマケモノ状態になっていると、一向に先へは進みません。

ささいなことでも「上手くいかない原因を発見できた」のであれば、十分に意味があります。大切なのは、実践の回数を増やし続けることです。インプットの大部分は、それを使う必要な場面があってこそ身につくものだからです。

 

・現代ピアノ演奏テクニック 著 : エフゲーニ・ヤコブレヴィッチ・リーベルマン  訳 : 林万里子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

‣ 3. 遠回りを恐れない

 

「最も効率の良い練習方法」は何かと多くの学習者が研究していることでしょう。「指練習をするかしないか」「J.S.バッハから始めるかどうか」などといった議論もその一つ。しかしこれらは「どれが正解」というものではなく、「いくつか試してみた結果、自分に合うものを見つけて自分のルールを決める」ことが本質です。

「Ctrl+S(MacはCommand+S)」でファイルを保存すれば0.5秒ですが、メニューからたどる1秒以上のプロセスには「行為の意味を確認しながら頭を整理する」価値があります。ピアノの練習でも同様に、無闇に効率を極めることよりも「自分に合った、自分で決めたルールでやる」ことのほうが長期的には機能すると覚えておいてください。

効率が悪過ぎるのは避けながらも、「遠回りしていい場合もある」と知っておくことが、踊り場の時期を焦らず進むための基盤になります。

 

‣ 4.「待つ」ことを学ぶ

 

「やることはしっかりとやりながら、待つ」——これが踊り場を乗り越えるための最も重要な姿勢です。

コンクールで結果がすぐ出ないと指導者に即クレームを入れる、毎日のように不安で連絡を入れる、といった「目の前すぐの状態でものごとを判断する」やり方では、学習は前進しません。

筆者の知り合いに、18歳まで大きな伸びがこなかったにも関わらず、その年に驚くほどの成長を見せ、今では誰もが知る著名なピアニストになった人物がいます。何がきっかけで学習が前進するかは誰にも分かりません。書籍に書かれていた一言が腑に落ちた瞬間にすべてがつながってきたり、指導者のちょっとした声かけで身体がほぐれてコツをつかんだりと、成長のきっかけは予測できない形で訪れます。

試行錯誤せずにあまりにも長い間同じことを繰り返すのは確かに問題でしょう。「損切り」の発想は必要です。しかし、何かしらの試行錯誤を続けているのであれば、焦って判断を急ぐよりも「待つ」姿勢を崩さないことが、長期的な上達につながることを覚えておいてください。

 

‣ 5.「最善」などないと知っておく

 

はじめから最善のやり方が見つかるわけではありません。むしろ「最善」「最適」などというものはない、と思っておくくらいがちょうどいいかもしれません。

ピアノの練習も試行錯誤の中でしか自分のスタイルは作れません。踊り場の時期に焦りや不安を感じるのは、「今の状態が永続する」という誤った前提があるからです。しかし階段の踊り場がそうであるように、次のステップへ向かう前の準備の場と捉えられれば、その時間の質は大きく変わります。

 

► 終わりに

 

上達における踊り場を潔くスルーするための要点は:

・「成長を理想との差だけではなく、過去の自分との差で測ること」
・「試行錯誤の回数を増やし続けること」
・「多少の遠回りは許容しながら自分のルールを育てること」
・「やることをやりながら待つこと」
・「最善がないことを前提にすること」

これらは別々のアドバイスではなく、すべて同じ一つのことを指しています。「毎日これだけ継続する」などの自分でコントロールできる指標を中心に自己評価する癖をつけることも重要です。

踊り場は裏切りではなく、構造だと考えてみましょう。そしてその踊り場を、焦らず、しかし怠らず通り抜けた先にこそ、次の成長があります。

 

推奨記事:【ピアノ】試行錯誤の重要性と継続のポイント

 


 

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