【ピアノ】take your time(ゆっくりやりな)を受け止める勇気の持ち方

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【ピアノ】take your time(ゆっくりやりな)を受け止める勇気の持ち方

► はじめに

 

よく耳にする言葉、「take your time(ゆっくりやりな)」。

しかし、心のどこかでこう思っていませんか:

・「ゆっくりやっていたら一生弾けるようにならないかも」
・「もっと早く上達しなきゃ意味がない」
・「友人に追いつかないと、ダメなんじゃないか…」

本記事では、そんな焦りを感じてしまう大人のピアノ独学者のために、「take your time」という言葉をどうしたら前向きに受け止めて音楽と向き合えるのかを解説していきます。

 

► なぜ、「take your time」が大人には難しいのか

‣「効率厨」な自分が顔を出す

 

大人の学習者は分かると思いますが、多くの仕事では「効率」「スピード」「結果」が求められます。その癖がピアノ練習や音楽学習にも現れて、「早く弾けるようにならないといけない」と思ってしまいがち。しかし、音楽学習にコスパを持ち込むと、本当にろくなことがありません。上達の鍵は、試行錯誤とそれによる失敗を恐れないことにあります。

 

‣ 子どもと比較してしまう

 

YouTubeやSNSでは、子どもが驚くほど上手に演奏している動画が山ほどあります。つい比べてしまい、「自分はもう遅い」と落ち込んでしまう方も多いようです。

特に自分が弱っている時にはより強く比較癖が出てきてしまうので、余計な真似はしないことです。筆者の昔の知り合いに、一時的に手を故障してしまって練習できない方がいました。上手な子供がプロコフィエフを弾いている映像を観て余計に落ち込んでしまったようですが、そもそもそんなものは観なければいいんですよ。

今の自分にとってやってはいけないことを判断してコントロールしていくのが、大人の学習者の大きな仕事です。それができないのであれば、ただの動画依存症です。

 

‣ 自分の「時間の価値」にプレッシャーを感じる

 

・「この年齢から始めて、数年後にどこまで行けるのか」
・「もし上達できなかったら、時間の無駄だったと思うのでは」

そんな不安が、「一刻も早く成果を出したい」という焦りを生んでしまいます。もしくは、「一部分でも中途半端な部分が残るのであれば、時間と労力がもったいないから全てやらない」となってしまい、ゼロイチ思考に陥ってしまいます。

自分の「時間の価値」を大切に思うこと自体は悪いことではありません。しかし、それを必要以上に音楽に持ち込むのはナンセンスです。毎日練習をしていても今まで弾けていたところが弾けなくなったり、弾けないところが相変わらず弾けなかったりするのがピアノ練習であり、少なくともテクニック的な面で言えば、やった分だけ必ず前進するとは限らない分野だからです。

焦らずに、しかし、自分のできる範囲では一番の学習をするように心がけるのがいいでしょう。

 

►「take your time」は、やさしい呪文

 

ただ「ゆっくりやっていい」という意味ではない:

「take your time」 は、直訳すれば「ゆっくりやりな」ですが、実際にはもっと深い意味を持ちます。

・「自分のペースで進めていいよ」
・「焦らず、自分の音楽を大切に育てよう」

つまり、「take your time」とは、「やる事はやりつつ、未来を信じる」というやさしい呪文でもあるのです。

 

時には、わざと間近の本番などを入れてしまって自分に発破をかけるのも良い方法ですが、周りと比較した変な焦りなどは一切不要です。

 

► 心が焦った時の「take your time」リマインダー

 

・音楽を楽しむコツはとにかく小さな試行錯誤

「take your time」で試行錯誤するというのが、音楽をより楽しむためのコツでもあります。例えば、筆者が毎日記事を出している本Webメディアの内容も、そのほとんどは筆者の経験が元になっています。例えば、「【ピアノ】決定的な出来事を反省材料にして行動を改善する」なんて記事が出た場合には、「この人は、最近もしくは過去に反省すべき決定的な出来事を経験したんだな」と思ってください。

 

・時間をかけて、手を動かして、自分なりのやり方を見つける

音楽の学習やピアノの練習をしていると様々な問題点や疑問点が出てきます。情報収集に関する貪欲さを持って、試行錯誤しながら実現したい内容を現実化させていく方法を自分で考えていくしかありません。「take your time」でいいので、このようにして知識やノウハウを自分で獲得していき、年々、判断できる材料が増えていきさえすれば、あらゆる楽曲へ取り組む時に使える自分なりのやり方を手にすることができます。

 

・練習では遠回りしていい場合もある

世間では様々な声があります:

・指練習をやってもすぐに動かなくなるから、楽曲だけで練習した方が効率がいい
・最初にJ.S.バッハから練習して手が温まってから速い楽曲に取り組んだ方が効率がいい

などといった、どうすれば一番効率いい練習ができるのかということをみなさん研究されています。それらはどれも間違いではないかもしれません。しかし、どれも正解ではないとも言えます。筆者がおすすめしたいのは、「take your timeでいくつか試してみた結果、合うものを見つけて自分のルールを決めるべき」ということです。

 

これらについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。この記事の内容は、筆者の音楽学習における長年の試行錯誤の経験をもとに、重要だと思ったことをまとめたものです。

【ピアノ】試行錯誤の重要性と継続のポイント

 

► 終わりに

 

本記事でお伝えしたかったことは、決して「時間をかけなくても上達する」という意味ではありません。試行錯誤しながら時間を投下しないと上達は見込めないでしょう。ただし、他人と比較したり、必要以上にコスパを求めたりと、変な焦りは不要だということです。

「take your time(ゆっくりやりな)」

この言葉は、「言われた時に受け止めるべき」そして「自分自身へかけるべき」深い励ましのメッセージです。焦らなくても鍵盤は逃げません。

 

完璧主義を捨てたい方は、以下の記事も参考にしてください:

【ピアノ】完璧主義と折り合いを付けてガンガンに音楽書籍を読み進める方法
【ピアノ】音楽書籍の読書が2時間の昼寝になってしまった時の心の持ち方

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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