【ピアノ】反復練習のコツ:上達につながる繰り返し方と過反復の防ぎ方
► はじめに
ピアノの上達において反復練習は欠かせませんが、「ひたすら繰り返せば上手くなる」という考え方は、必ずしも正しいとは言えません。反復の質と量、そして取り組み方によって、同じ時間でも得られる成果は大きく変わってきます。
本記事では、反復練習を効果的に行うための具体的な方法と、やりすぎによる弊害を防ぐためのヒントをまとめました。
► 反復練習を効果的に行うために
‣ 違和感がなくなるまで、粘り強く取り組む
「ハノン 第1番」を全長調で演奏するという練習法があります。運指は楽譜の通りのまま移調していく、というものです。
「ハノンの1番を全調で弾く(運指は楽譜通りで)」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成)

実際の楽曲では、平坦な音型ばかりが続くわけではありません。凸凹したパッセージを弾き進めることもありますし、短い指である親指や小指で黒鍵を弾かざるを得ない場面も出てきます。だからこそ、「運指そのままで移調する練習」には大きな意義があります。
この練習をはじめたばかりの頃は、きっと弾きにくさを強く感じることでしょう。どのような練習方法においても共通することですが、最初の違和感がなくなるまで粘り強く続けることが大切です。「最初は不自然だった運動感覚を、少しずつ自然なものへ変えていく」というイメージを持ちながら、このギャップを丁寧な反復で埋めていきましょう。
‣ ごく短い単位を切り取り、徹底的に磨き上げる
「ツェルニー 毎日の練習曲 Op.337」という教本をご存知でしょうか。例えば第1番には、「各小節を中断しないで、20回繰り返す」といった指示があり、かなりスパルタ的な内容ではあります。ただ、ごく短い単位を徹底的に繰り返すという方針そのものは、非常に有効なやり方です。
「ツェルニー 毎日の練習曲 Op.337より 第1番」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、1-2小節)

ヴァイオリン教育で有名な「ŠEVČÍK VIOLIN STUDIES OPUS1 PART1」でも同様の考え方が採用されています。
この考え方を一般的な楽曲の練習に応用してみましょう。うまく弾けていない箇所を的確に洗い出せるからです。長い単位でばかり通し練習していると、気になる箇所があっても通り過ぎてしまいがちになります。
例えば、4小節にわたって速い動きが続くパッセージがうまく弾けない場合を考えてみましょう。
技術全般が不足しているというよりも、「どこか一箇所が転んでいるせいで、前後まで崩れてしまっている」というケースのほうが実際には多いものです。そのような場合は、1小節単位、さらには1拍単位にまで細かく区切って、徹底的に磨き上げることが最善の練習法と言えます。
詳しい実践例・活用場面については、以下の記事で解説しています。
► 過反復に注意する
‣ 反復しすぎると、思考が止まってしまう
ここまで反復練習の重要性に触れてきましたが、思考が止まるほどの過反復を延々と続けることは避けましょう。
「同じ小節を2時間弾き続けた」という話を耳にすることがありますが、こうした過反復が招くのは「反復練習が目的化した状態」で、残るのは成果の伴わない達成感だけ、というのが実情です。ほかの練習を交えながら取り組んだほうが、新鮮な集中力を保てますし、練習の質も高まります。
何百回弾いても定着しなかった箇所が、時間を空けて取り組んだらすんなり身についた——そのような経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
‣ ぶっ続け練習を避けるための工夫
この項目では、反復練習はもちろん、練習全般に応用できる時間管理について見ていきましょう。
何時間もぶっ続けで練習することは、効率が悪いうえに身体への負担も大きくなります。集中力の持続時間には個人差がありますが、40〜50分程度を一区切りとして休憩を挟む方法は広く実践されています。密度の高い練習をしたいのであれば、意識的に区切ることが欠かせません。
ぶっ続け練習を防ぐシンプルな方法が、タイマーを活用することです。音量を大きめに設定して、時間になったらしっかり気づけるようにしておきましょう。
ポイントは、実際の練習予定より少し長めにセットしておくことです。例えば45分の練習を予定しているなら、50分でタイマーを鳴らすように設定します。繰り返しているうちに「そろそろ鳴りそうだな」と時間の経過が感覚で分かるようになってきます。
やがてタイマーが鳴る前に自分で区切れるようになり、習慣として定着していきます。そうなれば、タイマー自体が不要になる日も来るでしょう。ピアノ練習だけでなく、理論学習や読書など、机に向かう音楽学習全般にも取り入れてみる価値があります。
スマートウォッチや座り過ぎ防止アプリを活用し、一定時間ごとに休憩を促す仕組みを作るのも有効です。
► 終わりに
反復練習は、ピアノ上達の土台となる重要な練習方法です。しかし、ただ数をこなすだけでは意味がなく、「短い単位で丁寧に」「思考を止めずに」取り組むことが肝心です。
また、練習の密度を保つには、休憩を上手に組み込むことも欠かせません。過反復の落とし穴を意識しながら、質の高い練習時間を積み重ねていただければと思います。
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