【ピアノ】本番演奏中のトラブル対処法と事前対策
► はじめに
どれほど丁寧に練習を重ねても、本番では思いがけないトラブルが起きることがあります。思いがけないところで隣の鍵盤を弾いてしまったり、暗譜が突然飛んでしまったり……そういった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
そういった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
本記事では、本番中にトラブルが起きたときの対処法と、事前にできる予防策の両面からアドバイスをお伝えします。
「どうにもならなかった」という状況を少しでも減らすためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
► 事前対策と本番中の対処
‣ 事前対策①:運指が乱れると立て直しにくいパッセージへの備え
以下の譜例のような、ジグザグに動き回るパッセージなどでは、運指のミスが一つ起きると連鎖的に崩れやすい傾向があります。こういった箇所は、本番で崩れてしまうと立て直しが非常に難しく、事前の対策が特に重要です。
モーツァルト「ピアノソナタ イ短調 K.310 第1楽章」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、109-115小節)

有効な対処法の一つが、「拍頭止め」と呼ばれる練習方法。
細かいパッセージを拍単位に区切り、各拍の頭で一時停止しながら繰り返す練習で、運指を身体に定着させたり、暗譜を強化したりする効果があります。本番中に多少乱れてしまっても、拍頭や小節頭から正しい運指で立て直せるようになるのが最大の利点と言えるでしょう。
詳しい実践例・活用場面については、以下の記事で丁寧に解説しています。
‣ 事前対策②:暗譜のトラブルに備える5つのポイント
暗譜に関するトラブル対策については、【ピアノ】暗譜の攻略テクニック大全:確実な記憶から本番対策まで で詳しく取り上げています。以下のような観点から解説しています:
・楽譜の各段の先頭小節から演奏を始められるようにしておく
・ページの変わり目に特別な注意を払う
・練習中に暗譜でつまづいたら、思い出すまで30秒じっくり探ってみる
・自分が暗譜で飛びやすい箇所の傾向を把握しておく
・暗譜対策における時間のかけ方の優先順位を正しく持つ
‣ 事前対策③:演奏以外のトラブルをゼロにする
本番で演奏以外のトラブルが発生すると、ステージに上がる前から気持ちが乱れ、演奏中にもその影響が出やすくなります。また、周囲に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。
例えば、爪を切り忘れた、譜めくりとの連携が上手くいかない、服装が動きの妨げになる、手が冷えて指が思うように動かない……といったことは、事前の準備で防げるものばかりです。
こうした非演奏面のトラブルをあらかじめつぶしておくことが、演奏そのものの安定にもつながります。
【ピアノ】本番を成功させるための48のポイント:本番前から本番後まで という記事を参考に対策をしたうえで、本番に臨むようにしましょう。
‣ 本番中の対処:予想外のミスが出たときの立て直し方
演奏していると、次のような予期せぬアクシデントが起きることがあります。例えば:
・ある音が意図せず強く飛び出てしまった
・逆に、音が思いのほか小さくなってしまった
こうした場面でのポイントは、そのアクシデントから自然につながるように、直後の音楽を合わせることです。まるで意図的な表現だったかのように音楽をつなげられれば理想的と言えるでしょう。帳尻を合わせるのは、少し落ち着いてから戻れるポイントで十分間に合います。
ついやってしまいがちなのが、アクシデントのすぐ次の音から、もともと準備していたやり方へ即座に戻そうとすること。これをすると、アクシデントが起きた箇所だけが音楽の流れから浮いてしまい、かえって不自然な印象を与えてしまいます。
連続性を保つことが、聴き手に「ミス」と気づかれないための鍵となります。
► 終わりに
本記事で紹介した対策を講じていても、それでも本番でトラブルが起きてしまうことはあります。それは、ピアノを演奏するということそのものが持つ緊張感や不確かさと切り離せないものでもあります。
大切なのは、トラブルの後にどう向き合うか、ということでしょう。もし本番でのミスがトラウマになってしまった場合は、早期に再挑戦する機会を持つことや、本番の録音を客観的に聴き直すことなど、具体的な対処法を【ピアノ】本番でのミスのトラウマをリブートする方法 で紹介しています。
本番というのは、どんな演奏者にとっても緊張と向き合う場です。一つひとつの経験を積み重ねながら、ぜひ自分なりの「本番力」を育ててみてください。
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