具体例をひとつ挙げます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、72-75小節)
まず読み取らないといけないのは、
ショパンが書いた独特な分散和音における和声変化について。
どこからハーモニーが移り変わるのかを
見なくてはいけません。
ここでは、コードネームで書き込んだように
1小節2和音として、同型を反復させながら下降していく形をとっています。
(メロディに書き込んだ ×は非和声音、⚪︎は和声音)
一方、
ここでどのようにバスラインを扱っていけばいいのかについては
選択の幅が出てきます。
(再掲)
Aのほうでは
(6/4拍子の)4拍目に出てくる丸印をつけた音を
2和音目のバスラインとして扱っており、
ペダリングも含めていちばんオーソドックスなやり方。
Bのほうでは
3拍目に出てくる丸印をつけた音を
2和音目のバスラインとして扱っています。
この場合はとうぜん、
丸印の音をフィンガーペダルで4拍目以降まで残しておき
ペダルで拾ってあげなくてはいけません。
どうしてこんなことが可能なのかというと、
3拍目に出てくる丸印をつけた音は
譜例中のどの小節においても
2和音目にも含まれる構成音だからです。
ペダル効果で伸びるので
実質、転回形にしたような響きが生まれます。
(再掲)
ひとつ検討すべき事項があります。
AとBのどちらのケースでも
ペダリングによって
各小節の3拍目でメロディが濁って聴こえてしまう。
どの小節も
2拍目から3拍目にかけて2度音程で動いているからです。
そこで、
3拍目と4拍目の両方でペダルを踏みかえるのも一案と言えます。
その場合は、
3拍目で音響が希薄にならないよう
1-2拍目の下段の音を
3拍目で踏みかえるまで
フィンガーペダルで残しておくといいでしょう。
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