【ピアノ】J.S.バッハ インヴェンション 第11番 BWV782 全運指付き楽譜と練習のコツ
► はじめに
本記事では、J.S.バッハ「インヴェンション 第11番 BWV782」に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。具体的なテンポ設定、表現のコツまで、ポイントを押さえながら学習していきましょう。
►「全運指」の解説
この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。
運指について重要な注意点
この運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。
► 具体的な練習のヒント
‣ 適切なテンポ設定
推奨テンポ設定:
練習開始時:♩= 40-50(正確性と安定性重視)
中間段階:♩= 50-58(表現力の向上期)
目標テンポ:♩= 58(ヘルマン・ケラー提案)
なぜ、このテンポが適切なのか:
ヘルマン・ケラーが提案する♩= 58 は、以下の特徴があります:
・楽曲の憂愁的な性格を表現するために適度に抑制された速度
・標準的なテンポ設定として広く受け入れられている
‣ 本楽曲でよくある問題点と対策
· 楽曲の性格に合わない8分音符の処理をしてしまう
譜例(曲頭)
1-2小節目の左手パートをはじめ、ため息のような半音による下降音型が何度も出てきます。このような部分ではピッと短くなってしまわないように注意してください。「テヌート+スタッカート」のような落ち着いた表情で置いていくように演奏すると、楽曲の性格に適した表現となるでしょう。
また、半音による下降音型に限らず、全体的に音色には注意が必要です。解釈版には mf や f 等の強めのダイナミクスが書かれている箇所もありますが、あくまで「深い音」で弾くべきであり、カツカツと速い打鍵速度で弾いた明るい音色にならないようにしましょう。
· 多声的な1声の中でのバランスが不揃いになってしまう
譜例(15-16小節 および 23小節目)
譜例で示した部分では、一つの声部の中でもレッド音符とブルー音符で示したように多声的な書法になっています。これを意識しておかないと、どれか一つの音だけが突出してしまうことがあるので注意しましょう。
録音&チェックの時に、「レッド音符の部分のみ」「ブルー音符の部分のみ」というように、ポイントを絞って聴き、それだけを取り出した時にもバランスが取れているかをチェックするといいでしょう。
► 終わりに
重要なのは、楽曲の性格を理解し、それに適した音色と表現で具現化することです。一つ一つの音を大切にしながら練習を進めてください。
この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の解釈版を参考にしてください。
【ピアノ】園田高弘 校訂版 J.S.バッハ インヴェンション:独学学習者のための決定版
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