【ピアノ】学習した内容を中長期に定着させる方法:復習の仕組み化と楽しさがポイント

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【ピアノ】学習した内容を中長期に定着させる方法:復習の仕組み化と楽しさがポイント

► はじめに

 

ピアノを学習する中で様々な先人の知恵に触れると、「この学習法は良さそう」「この音楽雑学は面白かった」と感じる瞬間があります。しかし、せっかく得た知識や気づきも、時間が経つと忘れてしまうのが現実です。

音楽学習における「知識の定着」は、単なる暗記とは異なります。本記事では、学習で得た知識や技術を確実に自分のものにするための、実践的な方法を紹介します。

 

► 2つの視点から考える学習定着法

‣ テクニック編:「復習の仕組み化」で知識を確実に定着させる

 

音楽書籍や動画で「これは役に立つ」と思った内容も、印象的でない限り数日で忘れてしまいます。この問題を解決するには、復習のスケジュールを組んで文字化してしまうことが最も効果的です。

 

具体的な復習スケジュール作成法:

・”即座” の記録:学んで「有益」だと思った内容のURLやページ番号をメモ
・スケジュール化:1ヶ月後、3ヶ月後などの復習日を設定
・”即座” に文字化:四の五の言わずに、スケジュール帳やカレンダーアプリに「○○の動画を再視聴する」と記入

 

重要なポイント:「視界から消えたら頭の中からも消える」

「いつか復習しよう」と思うだけでは、99%実行されません。我々が日々接する情報が多過ぎて、どうでも良い気がしてきてしまったり、じきに忘れたりするからです。忘れた頃に確実に目に入る仕組みを作る必要があります。「視界から消えたら頭の中からも消える」ことを踏まえておきましょう。

この方法は「間隔反復学習」という科学的に証明された記憶定着法に基づいています。適切な間隔で復習し、その間隔を延ばしていくことで、長期記憶への定着率が飛躍的に向上します。

 

‣ マインド編:楽しさが最高の学習動機となる

 

学習内容を長期的に定着させるには、テクニックだけでなく「学習へのマインド」も重要です。ここで、興味深いエピソードを紹介します。

 

兄弟で全く違ったピアノ学習体験

ある友人が小さい頃、弟と一緒にピアノを習っていました。弟は毎週レッスンを嫌がって親を困らせていましたが、友人は何も言わずに通い続けていました。親は「お兄ちゃんは嫌がらずに我慢してレッスンに行くのに」と弟を叱っていました。結果として、友人はみるみる上達し、弟は親が諦めたタイミングでピアノを辞めました。

 

ここまで読んだらもう勘づいたと思いますが、兄、つまり友人は、親に気を遣ったり我慢してレッスンへ通っていたわけではありません。ただ単に、口数が少ない子供だっただけで、レッスンを嫌だとすら思っていなかったのです。

このエピソードから分かることは、「結局、好きで楽しく続けている人が最も成長する」という事実です。そして重要なのは、楽しく学習している人ほど、学んだ内容を自然に記憶し、長期間覚えているということです。

では、ピアノをもっと楽しく学習するにはどうすればいいでしょうか。

 

一つ、知人の大人の学習者にとって効果があったのは、「タイプの先生のところへ習いにいく」というものです。

「自分のために、そして先生のために学習する」といった気持ちへ持っていけると、楽しく続けられるようです。楽しい気持ちで学習に取り組むことで、レッスンで習った内容がより深く印象に残り、復習する際も思い出しやすくなります。普段独学の方は、スポット(単発)レッスンを活用するのもいいでしょう。

 

もう一つ、筆者自身が実践して効果的だったのは、手の大きさなどの自分の体格に合わない楽曲はすべて切り捨てて、自分のコンプレックスが刺激されない楽曲に囲まれることです。

ピアノ音楽は、どんな楽器のための作品よりも多くあります。新たな視点をもたらしてくれる楽曲に挑戦することは重要ですが、自分の体格に合わない楽曲に使っている時間は必要ありません。切り捨てることで、ピアノをもっと好きになることができます。嫌なストレスを感じずに取り組める楽曲を選ぶことで、学習で得た知識や技術が確実に自分の中に蓄積されていくのです。

 

「ピアノ技法をさぐる」 著 : アビー・ホワイトサイド 訳 : 佐々木 正嘉 / ムジカノーヴァ

という書籍から、関連した一文を抜粋しておきましょう。

(以下、抜粋)
“練習”は、演奏の楽しさ抜きでは決して効果をあげることはできません。
(抜粋おわり)

 

この言葉は、技術的な練習と楽しさが両立してこそ、真の上達が可能であることを示しています。そして楽しさを伴った練習こそが、学習内容を長期記憶として定着させる最も効果的な方法なのです。

 

なぜ「楽しさ」が学習定着に重要なのでしょうか。心理学の分野では、以下のように説明されるようです:

内発的動機の力
外部からの強制ではなく、内面から湧き出る興味や好奇心は、より深い学習と長期的な記憶定着を促進する

感情と記憶の関連性
楽しい感情を伴って学んだ内容は、脳の海馬や扁桃体により強く記録され、長期記憶として定着しやすくなる

自己効力感の向上
「できる」という実感が次の学習意欲を生み、好循環を作り出す

 

► 終わりに

 

ピアノ学習において、知識や技術を中長期的に定着させるには、「システマティックな復習」と「学習への前向きな気持ち」の両方が必要です。

復習の仕組み化によって確実に知識を定着させ、同時に楽しさを感じられる学習環境を整えることで、ピアノスキルは着実に向上していくでしょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ情報メディア「Piano Hack | 大人のための独学用Webピアノ教室」の運営をしたり、音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。ピアノ音楽の作曲や編曲もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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