【ピアノ】なぜ、simileを使わずにわざわざ同じことが繰り返し記譜されるのか

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記譜というのは
そのままを伝えるというよりは
奏者に印象や何かしらのプレッシャーを与えるというのが
役割としてはすごく大事なんです。

 

さまざまな作品の楽譜を見ていると

「simile(同様に)」って一言書いておけば済みそうなところに

わざわざ「fp fp fp」などと

同じことを繰り返して書かれているケースがありますね。

このような記譜法がとられる理由を考えたことはありますか。

 

作曲家によってその理由は多少異なりますが、

「譜面から見える印象のコントロール」

というところにだいたいの理由は集約されます。

 

記譜というのは

そのままを伝えるというよりは

奏者に印象や何かしらのプレッシャーを与えるというのが

役割としてはすごく大事なんです。

譜面で与える印象をコントロールするために

わざとそういうふうに書くことがある。

記譜って「人間から人間へ」みたいなところがありますね。

 

例えば、

わざわざ「fp fp fp」などと書くことで

音型が同型反復になっていることを

譜面から印象付けたいのかもしれません。

また、

緊張感やエネルギーを落として欲しくない、

というメッセージとして

f f f」などと、毎回 f を書き直しているのかもしれません。

 

そのほかにも、

記譜を見ることで

作曲家の性格やその作品の位置付けなどが

垣間見れます。

 

「作曲家の性格」というのは例えば、

「譜面の情報量を減らしたいし、simileでいいや」

などと割り切ってしまうのか、

「いやいや、ぜったいにそこは譲れない」

などと思って細かく書くのかとか

そういったこと。

 

「作品の位置付け」というのは例えば、

教育用作品だから運指を多めに記譜するとか

そういったこと。

 

だからこそ

さまざまな作曲家や

さまざまな関係者の要請などによって、

そのときその作品にとっていちばん最適とされる

千差万別な記譜の楽譜が出来上がるわけです。

 

今取り組んでいる作品の楽譜を開いて

「譜面から見える印象」

ということをわざと意識したうえでながめてみてください。

作曲家の工夫やこだわり

時には、あえてとられたシンプル化

などといった要素が目につくはずです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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