ピアノ学習へ入門するときには
鍵盤を見つめて、どこにDoがあってどこにFaがあって…
などといった
ピアノという楽器の仕組みを知ることに始まり、
楽譜の読み方を覚えたりと、
新たに吸収することばかりに感じるはずです。
このような状態は
おおむね中級へ入るくらいまで続きますが、
ある一定のところまでいくと
急に上達が頭打ちになったように感じるときがくる。
「知識的に新たに覚える」というよりは、
総合的な音楽感を育てたり
奏法などの目に見えないところをさらに磨いたり
といった段階へ入ると
前へ進んでいる実感が得にくくなるんです。
そのように感じたことがある方もいるはず。
習いに行っている方は
この辺りの段階から
先生の言うことも抽象的な内容に変わってくるように感じることでしょう。
そうして、先生探しの旅に出てしまったりするようです。
しかし、このように感じてきたということは
確実に上達している証拠だということを
分かっておかなければいけません。
問題はこの先。
この段階からさらに上のステップへ足をかけるためには
細かいことに徹底的にこだわりながら
自分で知恵をしぼっていくしかありません。
「ネイガウスのピアノ講義 そして回想の名教授」著 : エレーナ・リヒテル 訳 : 森松 皓子 / 音楽之友社
という書籍に
以下のような記述があります。
レフ・トルストイの言った、
芸術においては〈ほんのちょっとしたこと〉が大切だ、
を心に留め置いてください。
(抜粋終わり)
「ほんのちょっとしたこと」にどれだけこだわることができるか。
そして、「ほんのちょっとしたこと」を見かけたときに
インプットして
どれだけ自分の中へ残していくことができるか。
自分自身で最大限の知恵を絞って学習できるか。
こういったことの積み重ねでやっと1mm成長して
さらにその積み重ねで
上のステップへ上がっていくことができます。
◉ ペダリングを変えてみたら、音響が少しクリーンになった
◉ ていねいに分析し直してみたら、演奏に活かせるちょっとした発見があった
などと、
いい加減にやっていたら通り過ぎてしまうようなところにこだわり始めると
耳が開き、気付ける自分になっていきます。
だからこそ本Webメディアでも
「楽曲理解の引き出しを増やしてください」
と言いながら
作曲家の工夫が見られる譜例を取り上げて
重箱の隅を突くような表現を紹介するわけです。
「ほんのちょっとしたこと」に目を光らせて学習するべきなのは
創作でも同様。
学習の初めの頃は
楽式、和声、対位法、楽器法などをはじめとして
段階的に学習できる教程が用意されています。
しかし、ひととおりそれらが済んだらどうすればいいのかというと、
手を動かしてひたすら実例を分析したり
その中から「ほんのちょっとしたこと」を発見しては音にしてみたりと、
自分で学習の仕方を選択していくしかありません。
極論、どこまでいっても自分なんです。
ほんのちょっとしたことにこだわる。
ひととおり学んだら、後は自分自身で最大限の知恵をしぼる。
特に中級以降は
常にこれらのことを意識して欲しいと思います。
◉ ネイガウスのピアノ講義 そして回想の名教授 著 : エレーナ・リヒテル 訳 : 森松 皓子 / 音楽之友社
Amazon著者ページ
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