具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ドビュッシー「前奏曲集 第2集 より ピックウィック卿を讃えて」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲尾)
この締めくくりは
ff で強く響く中音域の和音を
静かに響く低音と高音がエコーのように包みこんで終わります。
つまり、
主になるのは ff で打鍵される和音のほう。
この響きをよく聴き続けたまま
それを邪魔しないように最終和音を添えましょう。
仮にこの部分をオーケストラで演奏するのであれば
ff の和音と p の和音は
まったく別の楽器で演奏されます。
そのような多層的なイメージをもったうえで
音を出すといいでしょう。
もう一例を挙げます。
スクリャービン「24の前奏曲 Op.11-7」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲尾)
最後の2小節に筆者が書き込んだ
カギマークの部分に注目してください。
わざわざ下段に f と書かれているのに注意。
ここまでは ppp で演奏されてきますし、
この f はあえて下段に書かれているので
カギマークで示した部分だけにかかるものと解釈し
最終和音は ppp で演奏するピアニストが多くいます。
最終和音で下段だけ f で演奏するのは不自然なので
上段、下段をすべてppp で演奏します。
つまり、
主になるのは f で打鍵されるほう。
ppp で奏される最終和音は
深い f の響きの中に静かに響くエコーとなります。
上記の例と同じように、
オーケストラで演奏するのであれば
まったく別の楽器で演奏されるはず。
そのような多層的なイメージをもったうえで
音を出すといいでしょう。
いずれにしても、
「必ずしも、楽曲のいちばん最後に響く音が主役とは限らない」
ということを踏まえておいてください。
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