【ピアノ】効果的な学習のための「ラーニング・ゾーン」活用法

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【ピアノ】効果的な学習のための「ラーニング・ゾーン」活用法

► はじめに

 

ピアノの練習で「簡単過ぎてつまらない」「難し過ぎて挫折する」という経験はありませんか。最も効果的な学習は、この2つの間にある「ラーニング・ゾーン」で行われます。

本記事では、「3つの学習ゾーン」理論をピアノ練習に応用し、効率的な学習方法を紹介します。

 

► 学習効果を高める「正反対のアプローチ」

 

3つの学習ゾーンの理解を深めるために、まずは「正反対のアプローチ」について解説します。

 

‣ 日常生活での正反対のアプローチ

 

日常生活でも、正反対のアプローチが効果的な場面があります:

・冷房を効かせた部屋で、熱々の料理を食べる
・冷房を効かせた部屋で、風邪を防ぐために厚めの服装で寝る

 

これらは一見矛盾しているようですが、快適な生活を実現する有効な手段です。

 

‣ 音楽学習での正反対のアプローチ

 

ピアノ練習においても、この「正反対のアプローチ」は非常に有効です。

 

効果的な学習法:

・簡単な楽曲を徹底的に分析する(通常は軽く流しがち)
・難しい楽曲を「好きになる」ことから始める(通常は技術的攻略から入りがち)

学習効果が上がりにくいケースでは、大抵この逆をやっています。

 

避けるべき学習法:

・簡単な楽曲をさらっと終わらせる → 後述する「コンフォート・ゾーン」学習
・難しい楽曲に真正面から挑んで挫折する → 後述する「パニック・ゾーン」学習

 

► 3つの学習ゾーンとは

 

学習効果を以下の3つのゾーンに分類することができます:

 

1. コンフォート・ゾーン(Comfort Zone)

特徴:学習内容が簡単過ぎて、既存の力で楽にこなせる状態
学習効果:学習効果を感じられない
ピアノ例:完全に弾けるレベルのエチュード

 

2. ラーニング・ゾーン(Learning Zone)

特徴:負荷は高さは感じるが、集中して学習すれば習得可能なレベル
学習効果:最も学習効果が上がる
ピアノ例:技術的に少し背伸びが必要だが、練習すれば弾ける楽曲

 

3. パニック・ゾーン(Panic Zone)

特徴:要求レベルが高過ぎる状態
学習効果:パニック状態になり、学習につながらない
ピアノ例:現在の学習レベルをはるかに超えた楽曲

 

► 各ゾーンの適切な活用法

‣ コンフォート・ゾーンをラーニング・ゾーンに引き上げる

 

すでにコンフォート・ゾーンに入ってしまっているときは、以下の方法でラーニング・ゾーンへ引き上げることができます。

 

具体的方法:

・簡単な楽曲でも、音楽理論的分析を深める
・表現力や音色の追求に集中する
・暗譜の精度を極限まで高める
・指定テンポへ肉薄する

 

‣ パニック・ゾーンをラーニング・ゾーンに引き下げる

 

基本的な考え方:

それでもどうしても難しい大曲に挑戦したい場合は、まず「本気で」取り組んでみることをおすすめします。ただし、手を痛めない範囲で。

 

学習プロセス:

・憧れの難曲に一度本気で取り組む
・本番で演奏してみる
・基礎の重要性を実感する
・緊張下での演奏の難しさを体験する
・ラーニング・ゾーンでの練習の価値を理解する

この「一度痛い目をみて学ぶ」プロセスが、効果的な学習方針転換のきっかけになります。

 

► ラーニング・ゾーンでの学習

 

ラーニング・ゾーンでの学習は以下の特徴を持ちます:

・適度な挑戦が含まれている
・集中力を維持できる難易度
・明確な短期学習目標を持つことができる

 

簡単過ぎず難し過ぎない学習をする場合は、「適度な」挑戦を含めることができます。

また、明確な「短期」学習目標を持つことができる点も大きいでしょう。簡単過ぎると目標を持てず、難し過ぎると長期目標しか持てません。パニック・ゾーンへ入ってしまうと、短期目標の階段をかけることすらできなくなるのです。

 

筆者自身、過去にパニック・ゾーンへ入って学習した作品の掘り込みの浅さを実感してから特に、ラーニング・ゾーンでの学習を意識し始めました。その結果、内容を腑に落とした学習をすることと、取り組んだ作品を確実にレパートリーとして残すことに成功しました。

 

具体的な実践例:

技術面:

・現在のレベルよりワンランク上の楽曲に挑戦(例:全音ピアノピースの難易度表で考えても良い)
・苦手な技術を含む短い練習曲を活用

音楽面:

・馴染みの薄い時代・様式の楽曲に取り組む
・室内楽やアンサンブルで、上手な奏者と合わせる技術を磨く

 

► 終わりに

 

効果的な学習のために:

・自分の現在のレベルを正確に把握する
・ラーニング・ゾーンの楽曲を中心に練習メニューを組む
・正反対のアプローチを積極的に取り入れる
・3つのゾーンを意識的に使い分ける

 


 

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