アーティキュレーションについては
非常に奥が深く、
「何となくピアノを弾く」というのをやめてみて
細かなアーティキュレーションについて追求し始めると
たくさんの発見とたくさんの課題に直面します。
アーティキュレーションの理解にとって
前提となってくるのが、
多種の音楽記号の理解が必要だということ。
意味の理解はもちろんですが、
もうひとつ大事なのが
各種記号をそれぞれの作曲家がどのような意味合いで使っていたのかを
できる限り知ろうとすること。
たとえば、
楔形のスタッカート( 𒑰 )と
点のスタッカート(・)について。
「ベートーヴェンは、これらのふたつの記号を、初期作品においてまだ一貫して区別を立てていなかった」
とヘルマン・ケラーは指摘しています。
また、
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社
という書籍には以下の記述があります。
1825年のベートーヴェン自身の手紙(以下、抜粋)
音符の上に ・(点)がある場合には、
𒑰(線)を代りに置いてはならないし、
その逆のことをしてもなりません。
(抜粋終わり)
亡くなる年の2年前の手紙です。
こういったことを踏まえたうえで
特に後期の作品の解釈について
今日存在するような
さまざまな意見の対立や解釈がでてきているわけです。
記号の使い分けについての真相は
ベートーヴェンにきかなければわかりません。
しかし、
アーティキュレーションを考えていくためには
こういった作曲家ごとの情報も集めたうえでの検討が必要。
情報を集めることで、
唯一の正解がわかるわけではなくても
可能性のしぼりこみはできるからです。
◉ フレージングとアーティキュレーション―生きた演奏のための基礎文法
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社
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