【ピアノ】シューマンが使った、濁ってもペダルを踏みっぱなしにする指示

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濁りをうまく取り入れた表現というのは
見方聴き方によっては
「ピアノ的な表現」と言えます。

 

以下の譜例を見てください。

 

シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)より 冬の季節 2 Op.68-38b」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲尾)

譜例の最初の4小節間は

伸ばされているバスの完全5度の上で

ドミナントとトニックが何度も交代します。

ここで注目すべきなのは、

作曲家自身が

4小節間ダンパーペダルを踏みっぱなしにするよう

指示をしていること。

 

実際のところ

濁ることには濁るのですが、

以下の3つの要素があわさることで

むしろ霧のかかったような美しい効果が出てきています。

◉ ダイナミクスが pp であること
◉「Verschiebung(ソフトペダルを使用)」の指示により、さらなる音量の減少に加えて音色が柔らかくなっていること
◉ ピアノという楽器が減衰楽器であること

 

実験として、

ソフトペダルを使用せずに

f で弾いてみてください。

霧のかかったような美しい効果だったものが

ただの濁りのカタマリへと変化してしまうことに

気が付くはずです。

 

上記のように捉えてみると、

「濁り」というものは必ずしも悪というわけではなく

ときには音楽表現になり得ることが分かりますね。

ピアノという楽器のもっている特徴や使えるペダリングテクニックを活かした

「いかにもピアノ的な表現」というのは

このような書法のことを言うのでしょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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