以下の譜例を見てください。
シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)より 冬の季節 2 Op.68-38b」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲尾)
譜例の最初の4小節間は
伸ばされているバスの完全5度の上で
ドミナントとトニックが何度も交代します。
ここで注目すべきなのは、
作曲家自身が
4小節間ダンパーペダルを踏みっぱなしにするよう
指示をしていること。
実際のところ
濁ることには濁るのですが、
以下の3つの要素があわさることで
むしろ霧のかかったような美しい効果が出てきています。
◉ ダイナミクスが pp であること
◉「Verschiebung(ソフトペダルを使用)」の指示により、さらなる音量の減少に加えて音色が柔らかくなっていること
◉ ピアノという楽器が減衰楽器であること
◉「Verschiebung(ソフトペダルを使用)」の指示により、さらなる音量の減少に加えて音色が柔らかくなっていること
◉ ピアノという楽器が減衰楽器であること
実験として、
ソフトペダルを使用せずに
f で弾いてみてください。
霧のかかったような美しい効果だったものが
ただの濁りのカタマリへと変化してしまうことに
気が付くはずです。
上記のように捉えてみると、
「濁り」というものは必ずしも悪というわけではなく
ときには音楽表現になり得ることが分かりますね。
ピアノという楽器のもっている特徴や使えるペダリングテクニックを活かした
「いかにもピアノ的な表現」というのは
このような書法のことを言うのでしょう。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
無料トライアルで読み放題「Kindle Unlimited」
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント