という記事などで
「各声部の役割分担を把握して、それに応じて弾き分けること」
この重要性を書いてきました。
◉ バスが深く支えて
◉ 伴奏はメロディより目立たずに
◉ 対旋律もメロディより目立たずに
などと、
各声部を弾き分けることで
立体的な音楽が生まれるからです。
一方、
今回はもっと楽器の特性に焦点をあてて
弾き分けるべき理由について考えてみましょう。
楽器ごとに
得意なこと不得意なことなどはありますが、
ピアノという楽器は
10本の指で演奏できるということもあり
他のほとんどの楽器よりも多声表現が得意です。
だからこそ、
多声表現を上手くできるかどうかが
問題にもなってくるわけです。
木管楽器などの「単旋律の楽器」では
特殊奏法でも使わない限り
和音を出せませんから、
原則、多声表現ができません。
「問いかけ」「応答」など
一曲の中で一人二役をやるケースはありますが、
結局は、単旋律をつなぎ合わせているだけです。
1本のみの楽器では
原則、多声表現にならないのです。
では、弦楽器の場合はどうでしょうか。
ヴァイオリンなどの弦楽器では
和音を出せますね。
J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 ト短調 BWV 1001 より Adagio」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、3-4小節)
一方、
譜例の赤色矢印で示したところを見てください。
旋律が断片的になっています。
弦楽器の奏法上、いったん音を分断せざるを得ないからです。
つまり、
ヴァイオリンで多声表現はできるけれども
ピアノほど器用な多声の扱いはできない。
それは、ヴィオラであってもチェロであっても同様です。
木管楽器や弦楽器の例を取り上げましたが、
何も都合のいいところのみを
引っ張り出してきたわけではありません。
ピアノで出来る多声表現とは根本的に異なるのです。
繰り返しますが、
だからこそピアノでは
「各声部の役割分担を把握して、それに応じて弾き分けること」
この部分が
演奏のクオリティを大きく左右することを理解しましょう。
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