subitoでのダイナミクス変化は
あらゆる作品に出てくる表現で、
特にベートーヴェンの作品ではオンパレードです。
例えば、以下のような例。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第23番 熱情 ヘ短調 op.57 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、12-18小節)
subitoの変化では
以下の2パターンが見られます。
◉ フレーズの移行時に、突如ダイナミクスが変化する
上記の譜例には、どちらも出てきていますね。
subitoでのダイナミクス変化が
「緊張感のコントロール」であると同時に
「対比」を生み出す表現になりうることは
重要なポイント。
それと同時に
もうひとつ注目すべきなのは
「突如ダイナミクスが変わることは、遠近感の表現になりうる」
ということ。
(再掲)
この譜例で
f 系の部分と p 系の部分を比べてみると、
f や ff の部分では音像が近く
p や pp の部分では音像に距離があるように聴こえます。
こういった遠近感は、
2種の対立するものが並置されているからこそ
際立つと言えます。
交互に聴かされることで
聴衆はそれらの差を認識することになる。
subitoでダイナミクスが下がるケースと
上がるケースがあるので
それぞれの表現の違いを読み取っていきましょう。
別の作曲家の例も、ひとつ挙げておきます。
プロコフィエフ「風刺(サルカズム) Op.17-1」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
ここでは、
「ダイナミクスの交替」以外に
「アクセントとスタッカートの使い分け」
によっても差がつけられている点に注目してください。
突然のダイナミクス変化が意図するものは、
◉ 遠近感の変化
◉ 対比効果
代表的なものは、この3点。
あとは楽曲によりけりですので
別の顔として1曲1曲を見ていきましょう。
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