以下のふたつの譜例を見比べてください。
譜例(PD作品、Finaleで作成、11-12小節 および 146-147小節)
上の譜例が提示部で、
下の譜例が再現部で出てくる共通箇所。
「回想的なイメージを喚起させるつくり」
になっています。
譜例の短い部分に限って言えば、
再現でとられた変化は
以下の4点。
◉ Meno mossoでテンポが下がった
◉ ダイナミクスが pp に下がった
◉ 内声にクロマティックな進行が追加された
◉ 上段の音の厚みがやや薄くなった
◉ ダイナミクスが pp に下がった
◉ 内声にクロマティックな進行が追加された
◉ 上段の音の厚みがやや薄くなった
11-12小節のダイナミクスは
前後関係から考えると
p から mp 程度だと考えられます。
テンポが下がって
クロマティックな動きが追加されたことで
提示部に比べると
感情の起伏がやや大きくなったような印象を受けます。
それを pp という弱奏で訴えている。
回想的に感じる要素は
このような繊細な表現にあります。
回想をもってくるにふさわしい
中間クライマックスの直後へ配置されているので
より、回想的に聴こえますね。
提示部を思い出すように弾くべきでしょう。
(再掲)
下段は提示部と同様ですし
メロディが奏でられる音域も変化していません。
しかし、
少しニュアンスが変更されただけで
ずいぶんと音楽の印象に差がつけられていることに
注意を向けてみてください。
こういった部分は、
◉ 何が変化されたのか
◉ 何が変化されなかったのか
◉ 何が変化されなかったのか
この “両方” を調べることで
自分の聴覚に訴えかけてくる表現がつくられている理由を
理解することができます。
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