作曲家が示したフレーズ線は
作品によって
その示す内容がまちまち。
演奏者が内容を読み取って
どう表現するかを判断しなければいけません。
おおむねロマン派以降の作品の場合、
以下の4パターンに集約されます。
2. 細部のみを示していて、大きなフレーズのとり方は演奏者に任せている
3. 上記1と2の両方が、あわせて記譜されている
4. レガートの部分のみスラーがかけられ、ノンレガートの部分は省略されている
1-3番まではイメージつきやすいと思いますので、
今回は4番に該当する例を見てみましょう。
シューベルト「ピアノソナタ第21番 D 960 第1楽章」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
ここでは、
メロディが同音連打になるところ
つまり、
ほんとうの意味でレガートにならないところには
スラーがかからず
それ以外のところに
1小節単位でスラーがかかっている。
同曲の中で例外の箇所はありますが、
上の分類では
「4. レガートの部分のみスラーがかけられ、ノンレガートの部分は省略されている」
にいちばん近いものとなっています。
ligato( = legato)と書かれているので
結局のところ、演奏上はレガートへ肉薄するようにするのですが。
このニュアンスを踏まえたうえで
もし、フレーズを大きくとる解釈をするのであれば
はじめから4小節目の頭のメロディB音まで
スラーがかかっているイメージになります。
おおむねロマン派以降の作品を学習するときには
目の前に書かれているニュアンスが
上記の4つの分類のどれにあたるのかを考えてみましょう。
フレーズ線の示され方は統一されていません。
ざっと分類するだけでも4パターンあるんです。
こういった、
統一された唯一のきまりがないものに
正しいただひとつの弾き方を求めようとすると
一生困り続けることになります。
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