演奏者が暗譜をしていることによる
聴衆側の立場からの「メリット」とすると、
「楽譜とにらめっこされているよりも、自分たち(聴衆)と向き合ってくれていると感じる」
この点は大きい。
例えば、
スピーチをしている方を見ていても
原稿を持って話しているよりも
何も見ずに話しているスピーカーの方が
「この機会に力を入れてくれているんだな」
などと好意的に感じます。
演奏者が暗譜をしていることによる
聴衆側の立場からの「デメリット」は
ほとんど無いといって良いでしょう。
逆に、
暗譜をしていることによる
演奏者自身にとっての「メリット」とすると、
「(不安なところがない限り、)演奏に集中できる」
という点が挙げられます。
楽譜を見て演奏する場合、
◉ 楽譜を見る(視覚的な要素)
◉ 鍵盤を見る(視覚的な要素)
などといったように
他にもいくつもの感覚を使っていることになります。
この中から
「楽譜を見る」
という視覚的な要素のひとつを取り除いたほうが
自分の音をよく聴いて演奏することができます。
「飛ぶのが怖くてむしろ集中できない」
という声も聴こえてきそうですが、
それは、言ってしまえば「練習不足」です。
暗譜をしていることによる
演奏者自身にとっての「デメリット」とすると、
「楽譜に書かれている細かなことを忘れている可能性がある」
という部分が挙がります。
暗譜をしているので
◉ リズム
◉ 大まかなダイナミクス
などは覚えているでしょう。
一方、
人間は「忘れる生き物」ですので
譜読みをしたときには意識していた
◉ さりげなく書かれている音楽用語
などを忘れている可能性があります。
”本番での暗譜” の話をしているのですが、
本番で暗譜をするということは
「練習の段階」から暗譜で弾き込みますので
こういった部分が
おろそかになってしまう可能性があります。
「暗譜ができていたとしても、ときどき楽譜を読み直す」
という過程を練習に組み入れながら
本番へ向かっていくべきです。
十年以上前になりますが、
「月刊ピアノ」の特集で
「暗譜についてさまざまなピアニストが語る」
という企画がありました。
その中で
とあるピアニストが
「暗譜をすると、得られるものと同じくらい失うものがある」
と語っていました。
筆者自身は暗譜に「賛成派」ではあるのですが、
この言葉には納得してしまいました。
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