♩= 80 などと作曲家が具体的なテンポ指示を残しているケースがあります。
とうぜん、
目安としての数字なので
鵜呑みにしないことは踏まえておくべきなのですが、
もうひとつ見落としがちな注意点があります。
「テンポを細分化しても、完全イコールだと考えない」
ということ。
例えば、
♩= 60 と書かれている楽曲で
♪ =120 に置き換えてみる。
これは、数字上は間違いではありませんし
それで練習することが必ずしも間違いではありません。
しかし、
数字上はイコールでも
音楽上はイコールではないのです。
♩= 60 はあくまでも4分音符に対してのものなので
8分音符の場所で目盛りがはいることを意味していません。
4分音符の鳴る位置のことを言っていて
その中の微妙な音楽的なニュアンスは奏者に任されています。
この問題は
特にアゴーギクに自由度が大きい作品では
影響が出てきます。
指揮のテクニックとして
「緩徐楽章のような “ゆったりの曲想” では各拍を2回振る」
というものがあります。
「拍を割る」ということですね。
しかし、
これは演奏者がテンポを捉えやすいように
見た目を整えているだけのこと。
音楽的にも分割して表現を変えるわけではありません。
ピアノの個人練習で言い換えます。
練習するときに
♩= 60 を ♪ =120 に置き換えてみるのはアリですが、
仕上げていく段階では
♩= 60の感覚を意識に残しておいてください。
力のある作曲家であれば
拍子と音楽を踏まえてテンポ指示を残しますので、
原則として
楽譜に書かれているテンポ指示を
音楽の基準に考えていけばいいでしょう。
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