​​【ピアノ】音楽の方向性を解読する方法

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森を見る視点と木を見る視点の両方で考えて
その音楽がどこへ向かっているのかを解読する。
そうすると、
仕上がりのバランスがよくなります。

 

作曲をしているときもそうなのですが、

出来上がっている作品を演奏するときに

忘れるべきでないのは

「その音楽がどこへ向かっているのかを常に考える」

ということ。

これは、

「楽曲全体」と「もっと小さな単位」の両方の視点で考えます。

 

楽曲全体の例

 

例えば、

いちばんのクライマックスがどこにくるのかを調べてみる。

仮にそれがいちばん最後なのだとしたら

楽曲の途中に出てくる盛り上がりは

程度を考えなくてはいけません。

楽曲の途中ですでにマックスになってしまうと

曲尾のクライマックスへの方向性が見えにくくなってしまいます。

 

静かにおさまって終わる楽曲であれば、

そこにいたるまでの音楽の方向性を調べる。

やり方はシンプルで、

やはり、いちばんのクライマックスの位置を調べるのが基本です。

そして、

そのクライマックスまでどのように音楽が進み、

そのクライマックスからどのように音楽が閉じていくのかを

把握しましょう。

 

どうしてこのやり方が有効なのかというと、

多くの楽曲では

「クライマックスがあって、そこへ向かっていく」

というつくりになっているからです。

 

一部のクライマックスがない楽曲でも、

◉ 何かしらの特定音に収束して終わる
◉ リズムが大づかみになっていって終わる

など、向かう先自体はあるケースがほとんど。

 

小さな単位での音楽の方向性

 

これは例えば、

以下のようなケースが該当します。

 

ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番 悲愴 ハ短調 op.13 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、10小節目)

この下降クロマティックスケールは、

タメたりrit.したりせずに

「一気に」フェルマータの音まで流れ込むべき。

 

理由は以下の2つ。

①「6連符」「7連符」「128分音符」と音価を細かくしていっているから
② たどり着いた先に「停止」という意味のあるフェルマータが付いているから

 

このように、

音価によるaccel.が表現されているときをはじめ、

音楽の方向性が明らかに前に進んでいるときに

テンポをゆるめてしまうと

その方向性を無視していることになります。

 

「常に、そのフレーズの行き先を見極める」

という視点が必要です。

 


 

いくつかの例を挙げましたが、

この他にもありとあらゆる方法で

音楽の方向性を解読することができます。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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