【ピアノ】書かれていない強弱変化はどこまで補うべきか

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「デュナーミク(強弱法)」に関しての記事です。
「楽譜はレシピだからそのままではNGだよ」
よく聞くアドバイスですよね。
それでは、
書かれていない「強弱変化(松葉)」は
どこまで補うべきなのでしょうか。
これまでに書いた記事をまとめて
本記事に要約しました。

 

■書かれていない「強弱変化(松葉)」はどこまで補うべきか

① メロディのフレーズ表現のために

 

【ピアノ】フレーズ終わりの音楽的な処理の方法

という記事の中で

作曲者による特別な指示がない限り、
「フレーズ終わりの音」は大きくならないようにおさめるのが基本

と書きました。

 

つまり、

次の譜例の場合は

丸印をつけたEs音が大きくならないようにおさめます。

言い換えると

「Es音に向かって小さなデクレッシェンドの松葉が入る」

ということです。

ショパン「ノクターン第2番 変ホ長調 作品9-2」

譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)

 

ここでいう「小さなデクレッシェンド」というのは

メロディのフレーズ表現のために補う松葉です。

原曲の楽譜には書かれていない内容であり

演奏者が補うものですよね。

「楽譜はレシピだからそのままではNGだよ」

というのは、

「こういったフレージングの処理はきちんとしないといけないよ」

ということでもあるのです。

 

② 重心へ向けた音楽の方向性をつけるために

 

【ピアノ】「緩徐楽章」を音楽的に仕上げる最重要項目

という記事の中で

「重心(Schwerpunkt)」に向けたダイナミクスを表現しないと
音楽が平坦になってしまう

と書きました。

 

モーツァルト「ディヴェルティメント K.136 より第2楽章」

譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)

譜例に書かれている松葉は

演奏者が補うべきものを書き込んだだけで

原曲には書かれていません。

この例は、

メロディのフレーズ表現のためではなく

もっと大きなカタマリでの音楽の方向性を示した松葉です。

 

♬ 見落としがちな注意点

 

「強弱変化(松葉)」を補うべきシーンは

大きく以上の2パターンに分類されます。

 

一方、

ひとつ注意すべきことがあります。

「作曲家が ”実際に書き込んだ” ダイナミクスの松葉とのバランスを考える」

という点です。

 

ここまでに書いたように

「強弱変化(松葉)」は基本的に補うべきなのですが、

あまりにも大げさにやりすぎると

作曲家が ”実際に書き込んだ” ダイナミクスの松葉が活きなくなってしまうのは

想像に難しくないはずです。

音楽は相対的に聴かれるものだからです。

 

この辺りのバランスをとっていくのが解釈です。

それを磨くためにも

常に全体像で音楽をとらえる視点を持つようにしましょう。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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