【ピアノ】音楽のエネルギーの変化は、あらゆる要素を総合して判断する

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音楽のエネルギーの変化は
ダイナミクス記号のみを見ていても
読み取れないことがあるので、
あらゆる要素を総合して判断する必要があります。

 

まず、以下の抜粋を確認してください。

 

「新版 モーツァルト 演奏法と解釈」著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社 より

(以下、抜粋)
モーツァルトの f はとても大きな音から中くらいの音量にわたる、
幅広い範囲を含んでおり、
同じようにモーツァルトの p は、
豊かで歌うような mp からきわめて弱い p までを意味するのです。
《ピアノソナタ ハ短調 K.457》第1楽章展開部の冒頭にある f は、
ベートーヴェンの ff に相当するでしょう。
言うまでもなく、
強弱はそれぞれの作品の枠組みの中で解釈されなければなりません。
(抜粋終わり)

 

この抜粋内容を踏まえたうえで、

以下の譜例を見てください。

 

モーツァルト「ピアノソナタ ト長調 K.283 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)

①〜③まで3回にわたってsubitoで f になりますが、

この f をすべて同じ大きさで弾いてしまうのは

音楽的とは言えないでしょう。

 

1回目よりも2回目、2回目よりも3回目というように

音域が上がっていくので

3回目の f がこの中での頂点となるように

ニュアンスをつくるべきです。

 

エネルギーの上昇は

音域の上昇だけに見られるのではなく、

3回目は

カギマークで示したように

その主張が広がっていることからも読み取れますね。

 

こういった音楽のエネルギーの変化は

ダイナミクス記号のみを見ていても

読み取れないことがあります。

必ず、音域や音のカタチなどにも

目を向けるようにしましょう。

 

◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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