一般的に、
叩くと音が散らばって美しく響きませんし、
おそるおそる打鍵して
うわべだけのかすったような音を出しても
聴き手には何も届きません。
ここで知っておいてほしいのが、
以下の事実です。
ピアノの音を録音して
発音開始部分を切り取り
その後の音が伸びている部分だけを
目隠ししている人物に聴かせた。
結果、
多くの人物が
何の楽器の音なのかを言い当てることができなかった。
ここで提示しているのは
ざっくりとした実験内容でしかありませんが、
楽器の中では世間的にいちばん知られているであろうピアノの音ですら
このような結果になるということには驚きますね。
つまり人間は
音の発音部分で判断している要素がかなり大きいということ。
打鍵の仕方が大事な理由は
ここにあると言えるでしょう。
だからこそオーケストレーションでは、
ある楽器がメロディを弾くときに
メロディの入りの音にだけ別の楽器を重ねることで
音色を作ることがあります。
また、レコーディングエンジニアなどがおこなう
ミキシングの分野では、
「カクテルパーティ効果」と言って
聴かせたい特徴的な動きに対して
「入りの音量を少しだけ強調して、すぐに元に戻す」
というテクニックを用いることがあります。
そうすると聴衆の耳がそこにいくので、
元の音量に戻っていても
聴衆はそのラインを追ってくれます。
ピアノ演奏でも、
ピアノという楽器が表現できる範囲内であれば
アタックにおける音色や音量を
さまざまにコントロールすることができる。
これを心得ていて身につけている奏者が
ある意味、音色の引き出しが多い奏者であるということです。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント